今回は掛軸の仕立て直しの事例紹介です。
お得意様のご自宅で発見された慈雲尊者の一行書です。
慈雲飲光(ジウン オンコウ) 1718~1805
江戸時代後期の真言宗の僧。戒律を重視し「正法律」(真言律)を提唱した。雲伝神道の開祖。能書家としても知られる。
千巻にも及ぶ梵語研究の大著『梵学津梁』を著し、その内容は後年フランスのサンスクリット研究家シルヴァン・レヴィから高く評価されるほどであった。(wiki引用)
2004年は慈雲尊者の没後200年にあたり、これを記念して墨蹟を中心に尊者の遺徳と芸術を顕彰する
「特別展 二百年遠忌記念・心の書 慈雲尊者」が開催されました。
『頭々上明著々上妙』
中国の仏教書、無門関 第十六巻・鐘声七条とみられる。
句意は、一挙一動がすべて道に違うことなく明妙である、の意。
本紙下部に目立つ染みがあり、本紙全体にも折れが広がっていました。
墨書部分や落款印に滲み止めのドーサ液を施し、折れの部分には細く裁った和紙で折れ伏せを施しました。
丸表装 沈み入り
表装裂地は正絹古代絓を用い、一文字は元に使われていた竹屋町縫の現物を洗い、裏打ちをし直し再利用した。
軸先は牛骨を使用。